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マメ科植物と窒素固定とは?根粒菌との共生をやさしく解説

サイエンス

マメ科植物には、ちょっと不思議な力があります。

空気中の“使えない窒素”を、植物の栄養に変える──つまり「窒素固定(ちっそこてい)」というはたらきです。

この力で、マメ科植物は土を肥やすこともできるのです。

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マメ科の植物はなぜ“土を肥やす”のか?

畑や庭にマメ科の植物を植えると、土が元気になる──そんな話を聞いたことはありませんか?

実はそれ、科学的にもちゃんと理由があります。マメ科の植物には「根粒菌(こんりゅうきん)」という目に見えない小さな生き物が根っこにすみついていて、植物と一緒に働いてくれているのです。

この根粒菌には、「空気中の窒素(ちっそ)」を植物の栄養に変える“窒素固定(ちっそこてい)”という、すごい力があります。

ふつう、空気中にある窒素はそのままだと植物には使えません。でも、マメ科の植物は根粒菌の力を借りて、それを使える形に変えているんです。

このしくみのおかげで、マメ科の植物は自分の力で栄養をつくり出すことができるだけでなく、まわりの土まで肥やしてくれるんですね。

この記事では、

  • 「マメ科の植物がどうして土にいいの?」
  • 「根粒菌って何?」
  • 「窒素固定ってどういうこと?」

などの疑問にやさしくお答えしていきます。

「植物と菌のチームプレー」が見えてくると、畑の土の中もおもしろく見えてきますよ!

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マメ科の植物ってどんな植物?

身近なマメ科植物にはどんなものがある?

マメ科の植物と聞いて、まず思い浮かぶのは大豆やえんどう豆ではないでしょうか?

でも実は、身近な草花や野草にも、マメ科の仲間はたくさんあるんです。

  • 畑に植えられるインゲン豆、そら豆
  • お弁当によく入っている枝豆(えだまめ)
  • 野原に生えているクローバー(正式には「シロツメクサ」)

マメ科植物の特徴とは?

マメ科の植物には、次のような共通点があります。

  • 発芽のときに「子葉(しよう)」が2枚ある「双子葉植物(そうしようしょくぶつ)」に分類される
  • 花の形が、蝶のような形をしている

※「双子葉植物」とは、発芽したときに左右に開く子葉が2枚ある植物のことです。マメ科の多くがこの仲間に入ります。

マメ科は“ちょっと特別な植物”

さらに、マメ科の植物は根っこに“根粒(こんりゅう)”という小さなこぶを作る特徴があります。

小さなこぶの中には、「根粒菌(こんりゅうきん)」という菌が住んでいて、マメ科の植物といっしょにくらしています。

つまり、マメ科は植物の中でもちょっと特別なグループなんです。

次の章では、この「根粒菌」について、もう少しくわしく見ていきましょう。

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根粒菌とは?──菌と植物の“チームプレー”

根粒菌ってどんな菌?

「根粒菌(こんりゅうきん)」は、マメ科の植物の根にできる“こぶ(=根粒)”の中に住んでいる菌のことです。

「根粒菌(こんりゅうきん)」は、菌といっても、病気を起こすような菌ではありません。むしろ、マメ科の植物にとってとてもありがたいパートナーなのです。

根粒菌のすごい力──窒素固定

根粒菌は、空気中にふくまれている「窒素(ちっそ)」をつかまえて、植物が使えるかたちに変える力を持っています。

このはたらきが「窒素固定(ちっそこてい)」です。

※窒素固定のしくみについては、次の章でくわしく説明します。

どうしてマメ科と根粒菌はいっしょに生きているの?

その理由は、おたがいに助け合う「相利共生(そうりきょうせい)」という関係にあります。

  • マメ科の植物は、光合成などで作った栄養(糖分など)を根粒菌にわけてあげる
  • 根粒菌は、そのお礼に窒素を植物の栄養に変えて届けてあげる

つまり、おたがいに「ありがとう!」と言いたくなるような関係なんですね。

自然界にはたくさんの生き物がいますが、こうした「チームプレー」で生きている関係はとても大切です。

根粒菌とマメ科の植物は、まさに「土の中の名コンビ」と言えるでしょう。

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窒素固定とは?──空気から栄養をつくるしくみ

空気の中の「窒素」は、そのままだと使えない

空気の中には、じつは約78%が「窒素(ちっそ)」でできています。

でも、この窒素(N₂)はとても安定しているため、植物がそのまま吸収することはできません

たとえるなら、「お金を持っていても両替できなければ使えない」ようなものです。

そこで登場!根粒菌のはたらき

マメ科の植物の根粒(こんりゅう)にすんでいる根粒菌は、空気中の窒素を植物が使える形=アンモニア(NH₃)に変えることができます。

この変換のことを「窒素固定(ちっそこてい)」といいます。

どんなしくみで変えているの?

根粒菌は、「ニトロゲナーゼ」という特別な酵素(※化学反応を助けるたんぱく質)を使って、空気中の窒素を分解・変換しています。

変換されたアンモニアは、植物にとって大切な栄養になり、葉や茎を育てる材料になるのです。

「空気を栄養に変える」って、すごい!

ふつうの植物にはできないこの力を、マメ科の植物は根粒菌とのチームワークで手に入れているんですね。

しかも、その栄養は植物自身だけでなく、まわりの土や他の植物にも良い影響を与えていきます。

この“空気から栄養をつくる”しくみこそが、マメ科植物が「土を肥やす」といわれる理由のひとつなのです。

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マメ科植物が土を豊かにする理由

使いきれなかった窒素が、土にしみこむ

マメ科の植物は、根粒菌の力で自分に必要な窒素(ちっそ)をつくることができます。

ところが、根粒菌がつくった窒素は、すべてが植物に使われるわけではありません

一部は根や土の中に残り、やがて土の栄養分としてたまっていくのです。

土の中に「自然の肥料」ができる

そのため、マメ科植物を育てたあとには土の栄養がふえていることがよくあります。

この自然にできた肥料は、「窒素肥沃化(ひよくか)」と呼ばれることもあります。

マメ科植物がまるで天然の肥料工場のような役割をはたしてくれているんですね。

農業でも活かされているマメ科の力

この力は、昔から農業の現場でも利用されています。

たとえば──

  • 「輪作(りんさく)」:マメ科→他の作物を順番に植えて、土を回復させる方法
  • 「緑肥(りょくひ)」:マメ科植物を土にすきこんで、肥料として使う方法

どちらも化学肥料にたよらずに土を豊かにする知恵として、環境にもやさしいやり方です。

どれくらいの窒素を固定しているの?

植物の種類や環境によって変わりますが、たとえば大豆などでは、1ヘクタールあたり50〜150kgもの窒素を土に供給することがあるといわれています。

これは、肥料として使うとかなりの量にあたります。

マメ科植物のはたらきは、科学的にも証明された「土を元気にする力」なのです。

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まとめ──自然がつくる、植物と菌の美しい連携

マメ科植物は“土を育てる”不思議な存在

ここまで見てきたように、マメ科植物は自分の栄養を根粒菌と協力して作り出すという、特別な力を持っています。

しかも、その力は自分だけでなく、まわりの土や次に育つ植物たちにも恩恵を与えるのです。

根粒菌とのチームワークがカギ

このはたらきの中心にあるのが、根粒菌(こんりゅうきん)との「相利共生(そうりきょうせい)」という関係です。

植物は栄養をわけ、菌は窒素をわけあい、おたがいに助け合って生きている──これは自然界が長い時間をかけて築いてきた、見事なチームワークです。

私たちの暮らしにもつながっている

このしくみは、環境にやさしい農業や、化学肥料にたよらない土づくりにも役立っています。

身のまわりの野菜や草花の中にも、こんなふうに「見えないパートナー」と協力して生きている植物たちがいると考えると、自然が少しだけ身近に感じられますよね。

マメ科植物と根粒菌の関係は、科学と自然がつながる場所。 これから理科を学ぶうえで、ちょっと誇らしく思える知識になるかもしれません。

ぜひ今度、畑や道ばたでクローバーを見つけたら、 「この子も土を育てているかもしれないな」と思い出してみてください。

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