
「世界ではどの血液型が多いの?」そんな素朴な疑問を持つ人は多いと思います。
先に結論をまとめると、
- 世界でいちばん多いのは O型
- 次に A型 → B型 → AB型 の順で少なくなる
- Rh因子では Rh+(陽性)が圧倒的多数(約85〜90%)
- ただし、国や地域によって血液型の分布はかなり違う
というのが、世界の大きな傾向です。

ここからは、信頼できる海外の医療機関・調査データを参考にしながら、「世界の血液型の割合」を分かりやすく整理していきます。
血液型の基本:ABO式とRh式

血液型というと、A・B・O・ABの4種類を思い浮かべる人が多いですよね。
これは「ABO式血液型」と呼ばれる分類で、輸血の相性や医療の場でとても重要な情報です。

赤血球の表面には “A抗原” や “B抗原” といった目印のようなものがあり、それによって A型・B型・AB型・O型のどれになるかが決まります。
もうひとつ欠かせないのが「Rh式血液型」です。
こちらは “Rh(D)抗原” があるかどうかで Rh+ と Rh− に分かれます。
ABO式とRh式を組み合わせると、次の8種類の血液型になります。
- A+
- A−
- B+
- B−
- O+
- O−
- AB+
- AB−
世界の血液型の割合を比較するときも、この8タイプを使うのが一般的です。
世界全体のABO血液型の割合(推計)
世界で「どの血液型が多いのか?」を考えるとき、まず参考になるのが ABO式の分布です。
ABO血液型は国や地域によって差がありますが、複数の研究や国際データを総合すると、世界全体のバランスは次のようになります↓
- O型:45〜50%
- A型:30〜40%
- B型:10〜20%
- AB型:3〜7%

どのデータでも共通しているのは、「O型がもっとも多く、AB型がもっとも少ない」という点です。
このように幅のある数値になっているのは、
- 国ごとに人口構成が違う
- 一般人口ではなく「献血者データ」を集計している研究もある
- 調査年の違い
- 遺伝的背景の差
といった理由があるためです。
そのため、世界の血液型分布は「ぴったり○%」と言い切るよりも、「だいたいこれくらいの割合”」という傾向をつかむのが現実的だといえます。
世界の8つの血液型(ABO+Rh)の割合
ABO式だけでなく、Rh因子(Rh+/Rh−) を組み合わせた「8種類の血液型」で見ると、世界の分布がより明確になります。
世界全体の推計としてよく引用されるデータでは、次のような割合が示されています↓
- O+:42%
- A+:31%
- B+:15%
- AB+:5%
- O−:3%
- A−:2.5%
- B−:1%
- AB−:0.5%

この中でもっとも多いのは O+(42%) で、いちばん少ないのは AB−(0.5%) とされています。
Rh因子に注目すると、世界では Rh+が85〜90%ほど を占めることがわかります。
そのため、Rh−の血液型はどのタイプでも非常に少なく、輸血医療では Rh− の血液が重要視される地域もあります。
地域でこんなに違う!世界の血液型分布の特徴


世界全体の割合を見ると「O型が多い」という大きな傾向がありますが、実は 地域ごとに血液型のバランスはかなり違う ことが知られています。
ここでは、主要な地域ごとの特徴をやさしく整理してみます。
ヨーロッパ・北米
- O型とA型がとても多い
- B型・AB型は少なめ
イギリスやドイツ、アメリカなどのデータを見ると、O型とA型だけで人口の約8〜9割を占める国もあります。
白人系の地域では、B型とAB型が比較的少ない傾向がはっきりと出ます。
東アジア(日本・中国・韓国など)
- B型やAB型がヨーロッパより多い
- O型・A型も一定数いて、全体としてバランス型
日本や韓国、中国などは “A・O・B・ABがまんべんなく存在する地域” といわれます。
また、バングラデシュやインドなど南アジアでは B型の割合が非常に高い国もあります。
アフリカ
- 圧倒的にO型が多い
- Rh+の割合もかなり高い(9割前後)
西アフリカや中央アフリカでは O型が50%を超える国が多く、“O型中心の地域” と言ってよいほど偏りがあります。
ラテンアメリカ(中南米)
- O型が非常に多い地域
- A型・B型・AB型はかなり割合が小さめ
コロンビアやエクアドルのデータでは、O型が6〜7割を占めることもあります。
先住民系の遺伝的背景が強いほど、この傾向が強くなると報告されています。
中東
- O型とA型が多い
- B型・AB型は中くらい
イランやヨルダンなどの調査でも、O型とA型が拮抗して多いケースが多く見られます。
地域差が生まれる背景には、遺伝・集団移動・歴史的な隔たり などが関係していると考えられています。
世界には「超レア血液型」も存在する
世界の血液型を見ていくと、多い・少ないといった全体の傾向が見えてきますが、その中には 「とても珍しい血液型」 も存在します。
8種類の中で最も少ないのは AB−
ABO式とRh因子を組み合わせた8タイプの血液型の中では、もっとも割合が小さいのが AB−(0.5%ほど) です。

地域差は多少ありますが、世界のどこでも非常に少なく、「8タイプの中でいちばんレアな血液型」として扱われています。
医学的に特別とされる「Rh-null(ゴールデン・ブラッド)」
さらに世界には、医学的に非常に珍しい血液型として Rh-null(アールエイチ・ヌル) が知られています。
- 世界で確認されている人数は 50人未満
- Rhシステムに属する抗原を 1つも持たない
- 輸血を受けるときは、基本的に Rh-null同士でしか適合しない
といった特徴があり、海外では “golden blood(黄金の血)” と呼ばれることもあります。

一般の血液型分布とは別次元のレア度で、研究や輸血医療の観点でも非常に重要な血液型です。
まとめ:世界の血液型は「O型が中心」、でも地域差はとても大きい
ここまで世界の血液型の傾向を見てきましたが、最後にポイントを整理します。
- 世界でもっとも多い血液型は O型
- 続いて A型 → B型 → AB型 の順で少なくなる
- Rh+(陽性)は世界の85〜90% と圧倒的多数
- 地域によって分布は大きく異なり、
・ヨーロッパ・北米:OとAが中心
・東アジア:BやABも比較的多い
・アフリカ・中南米:O型が非常に多い - 8種類の中で最も少ないのは AB−(約0.5%)
- 特殊な血液型として Rh-null(ゴールデン・ブラッド) のような超レア型も存在する
世界全体では同じ分類でも、地域によって大きな違いが見られます。
背景には、遺伝や歴史的な集団移動など、さまざまな要素が関係しています。

「世界のどこでどんな血液型が多いのか」という視点で見てみると、血液型の話が少しグローバルで面白いものに感じられますよね。
参考情報:参考にした主なデータ・資料
この記事を執筆する際に参照した、主な情報源です。
- American Red Cross(アメリカ赤十字)
Blood Types — https://www.redcrossblood.org/donate-blood/blood-types.html - Stanford Blood Center(スタンフォード血液センター)
Understanding Blood Types — https://stanfordbloodcenter.org/education/blood-types/ - WorldAtlas
Blood Types Around the World(世界の血液型分布) https://www.worldatlas.com/articles/blood-types-around-the-world.html - Scientific Reports(国際学術誌)
Distribution of ABO and Rh blood groups in global populations https://www.nature.com/articles/s41598-020-78912-x - NHS Blood and Transplant(イギリス・国民保健サービス)
Blood type distribution in the UK — https://www.blood.co.uk/why-give-blood/blood-types/ - CDC(アメリカ疾病予防管理センター)
Blood Safety Basics — https://www.cdc.gov/blood-safety/basics.html - New Scientist
「Golden blood」に関する記事 — https://www.newscientist.com/article/dn24703-golden-blood-is-the-rarest-type-in-the-world/



